SoundCloud/note 自作曲の話 #2
市井ヒロノ 最初の活動拠点は「note」と「SoundCloud」でした。
その「note」と「SoundCloud」にて、過去の自作曲を公開しています。
この場所では、曲の思い出を語ります。
・浅い眠り
・線を辿って
・未来
・蜻蛉
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♪浅い眠り
病院で心電図をとっているときに思いついた曲です。
あの「ピ、ピ、ピ、」という脈拍を示す音、医療ドラマなんかでよく見るから、なんか不安になってくる。楽しい音が側で鳴ってたらいいのにな、というところから。
#1で少し触れましたが 過去に倒れたことがありまして
あれこれ検査をされている時期に作った曲です。心電図にもいろいろあります。しばらく安静にしながら心電図をとるとき、いろいろ器具をつながれながらぼーっと寝ていると、自分の鼓動と機器の音しか聞こえてこなくて不安になります。この曲のような楽しいイメージをもちながら受けていました。(その後MRIもとりましたが、あれは機械音がうるさくて音楽どころではなかった。)
この曲で新しい(ファミコン風の)音色を導入した覚えがあります。かわいい。
♪線を辿って
道路に引かれた白線の上を辿って帰っている小学生を見かけました。
慎重に、慎重に。けれども足がぐらついて白線を踏み外してしまった小学生は、“それでおしまい”なのでしょうか、線などお構いなしに一目散に通りを走っていきました。
昨年の桜の頃に描いていた夢は、病気のためにいちどしぼんでしまいました。何度も倒れ、救急車とか入院とか検査とか、様々な言葉が自分を通り過ぎて行きました。生活は一変しました。これまで歩いてきた線を踏み外してしまったかのようでした。
体調が悪くても心は案外明るいもので、それがもどかしく、春が来ればきっといくらか良くなるんだと確証もないのに自分に言い聞かせていました。
線を踏み外して、“それでおしまい”とは、思いたくありません。
暖かな春の午後、思い出して、白線に足を乗せてみました。
近所の桜は満開です。また新しい春が来ました。
きっとやり直せる春です。
入院は長引きましたが、生き延びました。よかった。
上に書いてある通り 生活は一変したのですが、いろいろなものの見え方が一気に変わって、2018年の春は人生で一番新鮮な春でした。何もかもが、まぶしい。自由に自分の身体を動かせることがこれだけ楽しいことだとは思っていませんでした。
楽しい音色がつまったピアノ曲です。生命力が戻ってきている。
♪未来
詞曲、歌、ハープ/市井ヒロノ
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さあ、心の扉を開こう
夢見た世界はそこに
悲しみを通り過ぎてなお、囚われたままでいるのかい
殻の中で、平穏を祈るままでいいのかい
自分にかけた呪いをほどいて
あなたは、もっと、自由だ
自分の中に未来はあって
誰も知り得ない、あなたのほかに
春風が胸を満たす
新しい日が始まる
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曲を作りました。案外ポップス系のハープ曲ってないなあと思いそんな雰囲気を目指しました。(そもそもポップスを弾くハープ弾きがなかなかいないのか…)
過去にしんどいことがあって、今に至るまでそれを引きずってしまい、もう過去の苦い思い出の域を超えて「呪い」と言えるほど強力なものと化してしまうことがあります。呪いを解いて未来を拓く魔法を持っているのは、自分自身であってほしい、と、そんな小さな夢を見ます。
作詞・作曲・歌、など、昔の自分なら恐れ多くて手を出せなかったでしょう。
とりあえずなんでもやってみよう、という気持ちになり、はじめて「シンガーソングライター」をやってみました。この頃は気力に満ちていました。
ハープをICレコーダーで録って、歌を別撮りして、iPadのGaragebandでバンド音源を(ピアノロール打ち込みで)作り、パートごとに書きだしてミックス。全部素人なので、途方もなく時間がかかりました。3月から作って公開は5月になりました。
市井ヒロノのテーマソングです。よろしくどうぞ。
♪蜻蛉
暑さの中で稲だけが青々と揺れている田舎道を、自転車でゆくときは、いつも心細くて何か適当な歌を口ずさみます。普段は明るい気持ちになりたくて長調で歌っていました。
先日は、稲の上をとんぼがすいすいと何匹も通っていて、とても平和な光景でしたが、口をついて出てきたのは短調の、物悲しいふしでした。そちらのほうが似合うような気がしました。雲一つない青空でした。
真夏に作ったピアノ曲です。
青空が悲しい ということはありませんか。
私は健康でなかったぶん、健康な人にかかっているプレッシャーを知ることがありませんでした。周りは自分より元気に見えるけれども、いつも元気な人もいつも晴れた空も、ほんとうはなくて、多くの人がどこかで無理をしている。無理をして、いつも変わらないようにみせている、
万物流転、変わらないものは ない、そんなことを考えていました。
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